ショパンのエチュード ― 練習曲なのに、まるで詩のように

こんにちは!愛媛のピアノ教室、LUMINA Music Academyです。今日は「ショパンのエチュード」について少しお話ししたいと思います。「エチュード」というのはフランス語で「練習曲」という意味。つまり、本来はテクニックを磨くための曲です。けれど、ショパンのエチュードは、ただの練習曲とはまったく違う特別な存在なんです。

ショパンは、ピアノの詩人と呼ばれるほど、繊細で美しい音楽をたくさん残した作曲家です。そんな彼が書いたエチュードは、たしかに指のトレーニングとしてはとても高度。でも同時に、心に響くメロディや感情のこもったハーモニーが散りばめられていて、まるで一篇の詩のように感じられます。

たとえば「革命のエチュード」(Op.10-12)という曲は、情熱的で力強く、左手の速い音型がとても有名です。この曲は、ただ速く弾けるようになるための練習ではなく、「怒り」や「叫び」のような感情を表現することが求められます。ピアノに向かうと、思わず心の奥から何かを叫びたくなるような、そんな不思議な力があるんです。

また、「黒鍵のエチュード」(Op.10-5)は、右手がほとんど黒鍵(♯や♭の鍵盤)だけで演奏される、とても軽やかでキラキラした曲。指先が鍵盤の上を踊るような感じで、聴いているだけでもワクワクします。けれど弾くとなると、意外とコントロールが難しくて、ただ速く弾くだけでは音楽にならないんですよね。

このように、ショパンのエチュードは「技術を磨きながら、音楽的な表現力も育ててくれる」魔法のような練習曲。最初は難しく感じても、何度も向き合ううちに、少しずつ指がなじんできて、音の流れが自然に感じられるようになります。そして、自分なりの「物語」を感じられるようになったとき、本当のショパンの世界が開けてくるんです。

当教室でも、上級の生徒さんにはショパンのエチュードを少しずつ取り入れています。もちろん、最初から全部弾ける必要はありません。たとえば最初の1ページだけを丁寧に弾くことから始めて、少しずつ「音を味わう」ことを大切にしています。

ピアノの練習というと、つい「上手に弾けること」ばかりを目指しがちですが、ショパンのエチュードはそれ以上に「心で感じること」の大切さを教えてくれる作品たちです。皆さんも、音に触れるたびに、小さな発見や感動が見つかりますように。

それでは、また次回のブログでお会いしましょう!

ルミナ ミュージック アカデミー

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